2016年2月1日月曜日

建設の打ち止め

その後、「一九五六年法」は数回の延長を重ねた。西部や中西部で人口、が膨張し、大都市の数も増えたため、総延長を六万八千八百七十一キロに延ばす必要があった。また途中から「最低二車線」を四車線に変えたこともあって、建設工事も当初の予定より時問がかかったことなどが背景にある。

この間、物価上昇や連邦政府の財政が厳しいなどの理由から、ガソリン税も数度にわたって値上げされ、一九九六年現在、ガソリンは一ガロン当たり十八セント、ディーゼル油は一ガロン当たり十四・三セントである。

こうして州際ハイウェーは、一九八五年には目標の九五パーセントが完成し、一九九〇年には、ごく一部の難工事区間などを除いてほぼ全線が開通した。これを受けて、議会は一九九一年、目標達成を理由に州際ハイウェー建設を打ち切り、道路行政の転換をしめす「一九九一年多種運輸機関陸上輸送効率化法」を成立させた。

おもなねらいは二つあった。第一は、都市では渋滞があたりまえで、しかも公害をまき散らす自動車交通に歯止めをかけるために、電車、地下鉄。バスなどの大量公共輸送手段を充実させることである。第二は、既存の各種道路のうち建設の終わった州際ハイウェーをふくめた主要な道路二十五万キロを、新たにナショナルーハイウェー・システム(NHS)として管理・補修を進めるとともに、各道路の連絡を良くすることである。

多種運輸機関陸上輸送効率化法は一九九二年から六年間の時限立法で、その多様な予算配分をみれば、時代の変化は一目瞭然である。NHSは、初め日本で伝えられたような、膨大な道路網の新設ではない。米国運輸省のもとで道路行政を担当している連邦ハイウェー局によると、NHSは全米の道路のうち主要なものを約四分の一選び、スムーズな道路網にすることがねらいで、二十五万キロのうち九八パーセントは既設の道路だという。残りのニパーセントはすでに計画されていたもので着工の見通しがあるものだという。